恋人にさよならを言う代わりに、記憶を消した。何度見てもキュンと来る、ストーリーテリングが秀逸な恋愛映画「エターナル・サンシャイン」。
恋愛映画において記憶喪失モノは定石だけど、この映画は…
恋愛映画において記憶喪失モノというのは、定石の設定であったりします。二人で積み重ねてきた記憶が、徐々に頭の中から消えていってしまう。あるいは、事故にあって恋人の記憶が失われてしまう。思い出を失ってしまった恋人にライバルなどが絡んで来たりして、物語が展開していくのですが、本作「エターナル・サンシャイン」はちょっと特殊なのです。
ジム・キャリー演じる主人公のジョエルと、ケイト・ウィンスレット演じるクレメンタインは、ケンカ中の恋人同士。クレメンタインと仲直りするために、ジョエルはプレゼントを持って彼女のもとを訪れますが、なんとクレメンタインはジョエルの記憶をまっさらに消してしまっていたのです。
そう、本作が他の記憶喪失モノと異なる点は、自分で自ら恋人の記憶を消しているというところ。失意のジョエルは、自分もクレメンタインの記憶を消すことを決意し、記憶除去手術を受けることに。ジョエルの脳内世界が映し出されて、クレメンタインとの記憶が次々と消されていくのです。やっぱりクレメンタインのことを忘れたくない!と思うジョエルは、記憶の中にいる彼女を連れて、自分の記憶の奥深くへと逃げ込んでいきます。
ファンタジックなジョエルの脳内世界の描写とともに、現実世界のストーリーも平行して進行していきます。しかも、ストーリーの時系列が巧妙に入れ替わっているので、最後まで観たあとに「あそこは、こういうことだったのか」と納得するシーンも。複雑なストーリーラインをまとめげたのは、アメリカでは著名な脚本家チャーリー・カウフマンという人なのですが、この年のアカデミー脚本賞を受賞しています。
ポップな映像美はヒロインのヘアカラー
監督は、ミシェル・ゴンドリーというファンタジックな作風に定評のある人なのですが、著名アーティストのミュージックビデオも多数手がけていて、ポップでテンポの良い映像が特徴なんです。
本作もカラフルなカラーに彩られているのですが、カラフルなのはなんとヒロインのヘアカラー。緑から始まり、赤、オレンジ、青とヒロインクレメンタインの心象風景に合わせてヘアカラーが変わっていきます。
さて、クレメンタインの記憶をやっぱり忘れたくない!となるジョエルは、果たしてクレメンタインの大切な思い出を守ることができるのでしょうか。複雑なストーリーラインを楽しみつつも、人を好きになることの根源的な意味を考えてしまう、冬におすすめな映画です。
Huluでエターナル・サンシャインを視聴
※2018年10月時点視聴可能です。