映画を観ているのか、ミュージックビデオを観ているのか分からなくなるくらい、映像がポップで美しいガールズムービーを3つご紹介します。
マカロンカラーのポップな世界観を、ポップなロックナンバーとともに「マリー・アントワネット」
誰しも知っている悲劇の王女「マリー・アントワネット」を描いた映画ですが、監督のソフィア・コッポラはガールズ・ムービーの旗手。長編処女作の「ヴァージン・スーサイズ」でも、自殺をしてしまう4姉妹の感性をみずみずしく描きだしています。
本作もまた、フランス王妃を描いた歴史モノというよりは、たまたま王宮に嫁いでしまった女の子という視点で王宮の日常がポップにつづられていきます。映画は全編に渡ってマカロンカラーに彩られていて、可愛らしい世界観の映像美を楽しめます。軽快なロックミュージックとともに、疾走感あふれる展開は、まるで連続した音楽クリップを眺めているよう。
出演: キルスティン・ダンスト, ジェイソン・シュワルツマン, アーシア・アルジェント, マリアンヌ・フェイスフル
監督: ソフィア・コッポラ
全てのカットが計算され尽くした静物画のよう。「8人の女たち」
登場人物たちのファッション、舞台となる屋敷、家具、すべてにおいてのカラーリングが計算されている映画「8人の女たち」。監督のフランソワ・オゾンの作品は、映像に趣向が凝らされていることで知られていますが、その中でも本作は1つ1つのカットが静物画として成り立つくらいに計算されているんです。
物語の舞台は1950年代のフランス。クリスマスイブの朝に雪に閉ざされた邸宅で、一家の主であるマルセルの死体が発見されます。容疑者はそこに集まった8人の女たち。ミステリアスなストーリーながら、ミュージカル調に美しい映像とともに進行するので、物語とともに場面単位を楽しむことができます。ガールズムービーというには往年の女優、カトリーヌ・ドヌーブなど名女優の演技が楽しめるのもポイント。
出演: カトリーヌ・ドヌーヴ, エマニュエル・ベアール, イザベル・ユペール, ファニー・アルダン, ダニエル・ダリュー
監督: フランソワ・オゾン
写真家、蜷川実花が描く極彩色の花魁の世界「さくらん」
ポップでビビッドな色調の写真で人気を誇る写真家、蜷川実花。彼女が手掛けた初の長編映画が本作「さくらん」です。主人公は、吉原の遊郭に連れて来られた少女きよ葉。少女が吉原一の花魁になるまでを描きます。蜷川実花の写真そのものの極彩色の映像は、現実世界を離れたどこか幻想的な雰囲気さえ漂います。
原作が安野モヨコの同名マンガなので、残酷なほどの生々しい男女の関係を描いたストーリーラインを抑えつつ、蜷川実花の世界観が融合したリアルガールズムービー。
【キャスト】
土屋アンナ 椎名桔平 成宮寛貴 木村佳乃 菅野美穂
【スタッフ】
監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ「さくらん」講談社刊